1月20日、ついに第45代目アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプ氏の就任式を迎えました。CNN世論調査によると、バラク・オバマ前大統領の第1期就任前の支持率が84%だったのに対し、トランプ氏は半分以下の40%という非常な不人気状態での就任です。就任式の会場外では、反対派デモと鎮圧に努める警官隊との衝突で大混乱が起きたりと、支持派・反対派の溝は深まるばかりに見えます。
遠く日本にいならがも、これからの世界は大丈夫?と思わされるばかりですが、果たしてトランプ政権下における為替相場の変動はどうなるでしょう?
トランプ政権が為替に与える影響
今後、トランプ政権下における外国為替相場の変動は、就任前にトランプ氏が掲げた数々の「契約(Contract)」や提示した法案が設立できるかどうかにかかっています。
- 米国の労働者保護のための7つの行動
- ①北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉か脱退
- ②環太平洋経済連携協定(TPP)から撤退
- ③中国を為替操作国に認定
- ④米国に不公平な外国貿易協定の不正を直ちに終わらせる
- ⑤米国エネルギー埋蔵量の生産制限解除
- ⑥中断されていたエネルギーインフラ計画再開
- ⑦気候変動プログラムへの支払いを取り消し、水と環境のインフラ整備に使用
- 就任後100日で設立させる法案
- ①税制改革(中間層の減税と税制簡素化)
- ②企業の海外移転防止
- ③エネルギーインフラ投資
- ④教育改革
- ⑤オバマケア廃止
- ⑥育児・介護支援
- ⑦違法移民防止
- ⑧暴力的犯罪への対策強化
- ⑨国家安全保障改革
- ⑩ワシントン汚職対策
上記の他にもいくつか「契約」がありますが、相場に影響を与えると思われる主な要因は上記一覧のとおりです。特に太字や赤文字にしたものはその影響が大きいと予想されます。
いわゆる「100日計画」の①と③については、アメリカGDPの3割にあたる予算を要するといわれており、設立が難しい法案です。これらがうまくいくかどうかが、米ドル相場の行方を握っているといえます。
USD相場変動のポイント
今後USD相場が大きく変動すると予想されるタイミングがいくつかあります。
・2月の施政方針演説と予算教書
・3月の米国債上限の引き上げ期限
・4月、就任後100日経過
まず2月に、政府の方針や政策についての演説と、予算教書の議会への提出があります。ここでトランプ政権が実際にやることや目指すものが具体化されます。これまでトランプ氏が演説などで語ってきたものを、どのような形で実行に移していくのか…もし国民の期待に反するような内容が公表されれば、米ドル相場に大きな影響を与えるでしょう。
3月には、米国債の債務上限引き上げ期限があります。政府が政策を実行するためには、必要な資金を調達するため国債を発行して借金をします。もし国債の発行上限に達してしまった場合、政府はそれ以上お金を使うことができなくなってしまいます。そうなる前に、議会に上限を引き上げてもらわなければいけません。
もし予算オーバーしてしまうような政策だった場合、国民の不安を煽ることになります。万が一、議会が引上げに応じなかった場合、債務不履行として金融危機の恐れも…
4月には、トランプ氏就任後100日が経過します。「100日計画」がどの程度実現したか分かるのです。もしトランプ氏が自信満々に宣言していたことが不実行に終われば…政府への信頼はさらに落ちることになるでしょう。
今後の相場変動は?

USD/JPY相場をみると、就任後初の市場オープンとなる23日(赤の縦ライン)から米ドルの下落トレンドが続いています。(15分足なので、ローソク足ひとつで15分の変動)
就任式におけるトランプ氏の印象や、さまざまな騒動による政府への不信感が現れているといえます。日本時間23時からは米国の市場がオープンするので、相場が大きく上下に変動することが予想されます。
トランプ政権への期待感や政策の実現性という観点では、米ドルの弱体化とみるのが有力です。もちろん、トランプ氏が手腕を発揮し「米国を偉大にする」という期待が高まれば、上昇の可能性もあります。しかし現時点では、先行きの不安が目立っています。
トランプ政権の影響は全面ドル安!?
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